もちろん、アロマだけでなく、「日々の生活でも香りを意識してほしい」ともいう。

「人間は野生動物のような嗅覚を必要としなくなったため、嗅覚が退化していきました。その上、嗅覚は徐々に衰えるので、匂いがわからなくなっても気付きにくいのです」

 匂いで昔の記憶がよみがえることもあるくらい、脳とは関係が深い。炊きたてのご飯やいれたてのコーヒー、散歩中の空気や植物。さまざまな匂いを感じてみよう。

【3】チョイ足し料理
 食材を洗ったり、切ったり、煮たり、焼いたり……。料理の内容で認知症がわかることもあるくらい、複雑な作業が必要になる家事の一つだ。

「料理ではワーキングメモリー(情報を処理する能力)が使われます。認知機能の低下の主たる要因は、このワーキングメモリーの低下なので、食事を作るのは、十分な脳トレになります」

 と話すのは、脳科学者で公立諏訪東京理科大学教授の篠原菊紀氏。普段の料理でも十分にワーキングメモリーは使われるが、さらに脳を活性化させるには、新しい料理に挑戦する、料理の数を増やす、ササッと作るなど。食べるときの楽しみも増えるので、一石二鳥だろう。ポイントは「無理してやらない」こと。料理が苦痛にならない程度にチャレンジしてみよう。

【4】ウィンドーショッピング
 買いものは楽しいが、「見るだけでも脳には良い効果がある」と篠原氏。

「それは、私たちの脳は商品を購入したという結果に対してだけでなく、買ったときのことを想像することでプラスに反応するからです」

 それゆえ、長引く自粛や感染対策で疲れた脳をリフレッシュするには、ウィンドーショッピングが最適だというのだ。

 海外の研究報告によると「ショッピングは感染リスクが低い」と示されている。近所を散歩するのも悪くないが、ときには少し遠出をして、デパートなどへ行ってみてもいいかもしれない。

【5】テレビは歌謡番組
 暇だとつい見てしまうテレビ。脳の機能低下との関係も指摘されているが、篠原氏は「テレビが悪いというより、見方の問題」と捉える。

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