ほかにも、教育学部や国際教養学部、文化構想学部など学際的な学びができる学部の人気が高まっている。なかでも注目は人間科学部(人科)とスポーツ科学部(スポ科)だろう。

 人科は87年、スポ科は03年に創設された「若い」学部だ。郊外の所沢キャンパス(埼玉県所沢市)にあり、しかも最寄り駅からバスで15分かかる。都心の本部キャンパス(東京都新宿区)にある政治経済学部や法学部、商学部などと比べると、人気が低かった。

 しかし、今年度の河合塾の偏差値によると、人間科学部人間環境科学科(文系)は18年度65から67.5にアップ。スポ科も同62.5から65に上がっている。

 人科に通う新4年生の男性(22)はこう語る。

「コロナ禍で本部キャンパスとの差が薄まっているように感じます」

 オンラインで授業が行われるようになり、学生はほとんどキャンパスを訪れなくなった。

「今の1年生やこれから入ってくる新入生は僕たちみたいな格差はあまり感じないでしょうね」

 立地だけではなく、学びそのものにも目が向いている。人科には早稲田で唯一、ネットで学ぶ通信課程がある。フィギュアスケート男子で2大会連続して五輪金メダルを獲得した羽生結弦選手が在籍(昨年9月に卒業)したことでも有名だ。専用の収録スタジオがあり、オンライン授業のノウハウも蓄えられている。入試広報担当者は言う。

「今年の通信課程の志願者数は昨年の266人から20%以上増えました。人科の環境や健康、スポ科のスポーツビジネスなど社会の関心の高いテーマを幅広い視点から学べることで注目が集まっています。学内での人気も上がっています」

(本誌・吉崎洋夫)

週刊朝日  2021年4月2日号より抜粋

著者プロフィールを見る
吉崎洋夫

吉崎洋夫

1984年生まれ、東京都出身。早稲田大学院社会科学研究科修士課程修了。シンクタンク系のNPO法人を経て『週刊朝日』編集部に。2021年から『AERA dot.』記者として、政治・政策を中心に経済分野、事件・事故、自然災害など幅広いジャンルを取材している。

吉崎洋夫の記事一覧はこちら