だが、判決では「医師の証言は合理的で信用できる」と判断を示した。
また、検察は野田被告が志帆さん殺害の犯人であるという動機についても細かく立証した。
野田被告は、2017年1月ころから、不倫相手のSさんと交際。検察は野田被告のスマートフォンの検索履歴を解析して以下のようなものがあったと法廷で説明した。
同年1月3日「シュノーケリング死亡事故」「シュノーケリングの女性死亡」1月4日「白浜 死亡事故」「事故死 保険金」「死亡事故保険金 海」「死亡事故保険金 溺死」「溺死の従業員死亡は他殺」、1月5日「水難事故」、1月7日「殺人 海水浴 溺れさす」「完全犯罪 海水浴」
などと検索していた。
そして、犯行前日には「溺死にみせかける」「完全犯罪ってできるんですか」「保険金が支払われない!?」などの検索を繰り返していた。
「半年前から事件前日まで検索した内容と、見事に合致する犯行」
検察側はこう訴えた。また、野田被告と不倫交際中のSさんは事件当時、妊娠。犯行の2日前には、2人で結婚指輪まで見に行っていた。
一方、同年7月はじめに不倫が志帆さんに発覚した野田被告。志帆さんやその両親に謝罪していたと法廷で志帆さんの父親は証言した。
「7月21日にSさんが中絶手術をするというので、証明書を出すようにと求め、野田被告は約束しました」
そして野田被告は志帆さんが死亡時に総額4200万円が受けとれる複数の保険を契約。中には、志帆さんのクレジットカードで保険料を支払っているものもあった。野田被告の銀行口座には事件当時、3万円ほどしか預金がなかったという。
法廷で志帆さんの両親はこう野田被告の行動を批判した。
「志帆の遺品を返すようにと求めました。海外旅行で買ったブランドもの
でした。しかし野田被告がメルカリで売っていた」
検察側は野田被告の置かれた状況をこう指摘した。
「Sさんとの結婚をするなら志帆さんは障害となる。資金も不足」
「志帆さんにもSさんにも両立不可能な約束をして、解決を迫られていた」