小野日子内閣広報官(代表撮影
小野日子内閣広報官(代表撮影

 菅義偉首相は3月18日夜、官邸で記者会見を開き、21日に緊急事態宣言を解除すると表明した。週刊誌の場合、会見に出席するにはあらかじめ抽選があり、まずはそれをくぐり抜けないと出席できない。

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  抽選に当たり、予定時刻の40分前には会見場に到着した。まだ早かったため、ほとんどが空席。よりどりみどりだったので、中央のどことなく気に入った席に座ったところ、ほどなくスタッフがやってきて、社名と氏名をチェックされた。

「週刊朝日です」と答えたところ、スタッフは手にもった「席のレイアウト表」を見つめながら、「あなたはこの席ではありません。こちらです」と別の席に案内された。

 さっきの席が気に入っていたのに……と思いつつレイアウト表をチラリと見ると、表の中に私の名前が記されているのが目に入った。あらかじめ、誰かどこに座るか決められていたのがわかった。

 会見では、菅首相が「リバウンドや変異株の広がりには懸念している。しっかりと対策を続ける」などと話した。

 菅首相の話が終わると、まずは官邸の記者クラブの幹事社が質問し、その後は自由な質問タイム。菅首相の長男らによる接待問題で追及される中で辞職した山田真貴子氏の後任の小野日子内閣広報官が前に立ち、「指されましたらマイクで質問してください」とアナウンス。記者たちを次々と指名していった。

 今日こそはと毎回、手を上げ続けたが、隣や前に座った記者も指されたのに、自分は指されない。会見開始から1時間が経ち、小野広報官が「それではだいぶ時間が押してきましたので、最後2問とさせていただきます」とアナウンスした。一段と手を高く上げたのだが、最後の2人にも入らなかった。

 会見終了後、小野氏と名刺交換をしに行った。名刺には「内閣広報官 小野日子(ひかりこ)」と、名前にルビが振られていた。

「もう5~6回、総理会見に出ているんですが、一度も指されません。前任の山田さんからはアエラならいいけど、週刊朝日はちょっと……と言われました」と伝えると、小野氏は「あ、そうなんですか。まだ(山田氏の)お体がすぐれてなくて、直接、私は引き継ぎを受けておりません。お話ができておりませんので、ちょっと過去の経緯などは……」。

「最初から誰がさされるのか決まっているんですか?」と疑問に思っていることを聞いたところ、「いえいえ、きょうは1時間で終わらせていただいたので、短めですいません」。小野さんがその場で決めて指しているのかとさらに聞くと、「はい、列のバランスを考えながら」と言う。小野氏がその場で決めているというのだ。今思えば、 私が最初に座った席の辺りは指名されていたように思う。移動させられ、記者の「列のバランス」を取られたのかと勘ぐってしまったが、真相はわからない。

 自分が指名される日はいつになるのか。いずれにせよ、今後も記者会見には出席して、手を上げ続けようと思う。

(本誌・上田耕司)

※週刊朝日オンライン限定記事

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上田耕司

上田耕司

福井県出身。大学を卒業後、ファッション業界で記者デビュー。20代後半から大手出版社の雑誌に転身。学年誌から週刊誌、飲食・旅行に至るまで幅広い分野の編集部を経験。その後、いくつかの出版社勤務を経て、現職。

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