林:日本の若い俳優さんも、そんなふうに演技プランを頭に入れて現場に来るんですか?

シム:それは役者によってそれぞれ違うと思います。むしろ事前にプランを作っているほうが邪魔になる場合もあるかもしれない。私も子役のときはそうでした。昔は、現場に入って考えることがお芝居だと思ってたんですけど、大人になってからは、それだけじゃ自分には無理だと気づいて。どんどん壁にぶつかって、何が問題なのか、何をやり直したらいいのかを考えるのが演技というものなんだなと思うようになりました。

林:ほぉ……。

シム:誰かに迷惑をかけるというのが、私、いちばんイヤなんです。せっかく私をキャスティングしてくださったんだから、適当にやりたくない。感謝の気持ちも含めて、作品に参加したいんです。

林:だから今のご活躍があるんですね。きょう私がいろいろお聞きしても、一言たりともいい加減におっしゃらないで、しっかり考えてご自分の言葉できちんと答えてくださって、感動しちゃいましたよ。これからもますます活躍されるように応援しています。

シム:はい、頑張ります。頑張るしかないです。

(構成/本誌・松岡かすみ 編集協力/一木俊雄)

シム・ウンギョン/1994年、韓国生まれ。2003年のドラマで子役デビュー。映画「サニー 永遠の仲間たち」「怪しい彼女」などヒット作で主演。映画「新聞記者」で、日本アカデミー賞最優秀主演女優賞を外国人として初めて受賞。20年、ドラマ「七人の秘書」(テレビ朝日系)出演。現在、ドラマ「アノニマス~警視庁“指殺人”対策室~」(テレビ東京系)出演中。新作映画「椿の庭」(4月9日公開予定)で主演を務めるほか、ミュージカル「消えちゃう病とタイムバンカー」(東京公演4月6~25日、大阪公演4月30日、5月1日)でも主演を務める。

週刊朝日  2021年3月26日号より抜粋