林:やっぱり音楽がお好きなんですね。ふだんお酒は飲むんですか?

シム:お酒はあんまり飲めないですね。

林:日本に来て3年ちょっとだそうですが、今までシムさんを失望させるようなことはなかったですか。「こんなイヤな人がいた」とか「こんなひどいことを言われた」とか。

シム:うーん、それは今までなかったんです。これは私を見守ってくれている事務所の方々の力だと思いますね。いつも丁寧にケアをしてくださるので、感謝の気持ちです。イヤなことがあるとしたら、他の人に対してじゃなくて、仕事をしている自分に対してですね。日本語が出てこなかったり、セリフを噛んでしまったときとか。

林:ほぉ~そうですか。シムさんって、張り詰めた雰囲気でドラマとかやってるときに「絶対NG出しちゃダメだ」と思っちゃうタイプなんじゃない?

シム:私は完璧主義なところがちょっとあるんです。完璧にできないと気がすまないというか。でも、完璧にやるには、悩んでる時間を勉強する時間に変えないといけないと思って、少し悩み始めたらすぐ勉強するように切り替えるようになりました。最初のころは、「私で大丈夫?」という不安な気持ちがすごくあったんです。でも、「私は日本で生まれて育ったネイティブではないから、NGを出してしまうのは仕方がない」と思うようになって、少し気が楽になりました。

林:お酒を飲んで悩みを発散するんじゃなくて、悩んだときには勉強するんですか。

シム:はい。例えば私が20歳のころの作品を見ると、何か足りないものがあるんです。それは努力なんですよ。お芝居って努力しなければダメなんだということが心の底からわかったんです。努力しないと不安になって、不安になるとその役になり切れないんですね。そうならないためには、今やることをやるしかない。遊びに行くのはいつでもできるじゃないですか。

林:すごいなあ。これだけしっかり考えて努力している人って、そんなにいないと思いますよ。

シム:私の場合、演技プランをたくさん考えておいて、頭の中に入れてから現場に入ったほうが、自分が楽なんですよね。

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