「下品にならずに興味を持ってもらえるタイトルになったと思っています」(担当編集者)

 もともと強力なコンテンツでもある「うんこ」関連本ブームが、児童書の世界では国内外に広がっているということだろう。

 ところがこの流れが、大人向けの書籍にも拡大しているようなのだ。『ウンコはどこから来て、どこへ行くのか──人糞地理学ことはじめ』(湯澤規子著、ちくま新書)、『うんちの行方』(神舘和典、西川清史著、新潮新書)が発売され、いずれも売り上げ好調だという。

『ウンコはどこから来て、どこへ行くのか』の担当編集者によると、同書はうんこの視点から時代や環境、経済を見渡した本で、早くも重版がかかり、現在は3刷となっているという。

「そもそもは、湯澤先生が前著『胃袋の近代』でトイレの話にも触れていることを知り、うんこの話は面白くなると思い、執筆をお願いしました。うんこは人口に膾炙しているのに、あまり深く考えられたことがないテーマですから」

『うんちの行方』は、日本全体で1日2トントラック1万2千台分以上の量になるウンチがどのように処理されているのかを2人の著者が興味の赴くままに調べたノンフィクションだ。たとえば「タワーマンション全戸で一斉にトイレを流したらどうなる?」という疑問を不動産会社に聞きに行くと「100%溢れます」と言われたことなどが面白楽しく書かれている。

 著者の神舘さんは『うんこドリル』が売れていることは知っていたが、この本の売れ行きについては何も考えていなかったという。

「ただただ、うんちの取材をして本を書きたい。そう思っただけなんです。僕自身も気心の知れた仲間との飲み会ではうんちの失敗談が大好き。打ち明けることで距離が縮まることがあると感じています。多くの人もそうだろうと思っています」(神舘さん)

 集英社インターナショナル新書からは4月、『ウンチ化石学入門』が出る。著者は泉賢太郎さん。千葉大学准教授の若き古生物学者だ。担当編集者によると、大学付属の中学生と動物園に行き、ゾウやキリンのウンチの計測を行い、体の大きさとウンチの関係を公式化できないか研究している人物だという。

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