兵庫県姫路市で活動する「笑いヨガ」の参加者たち (佐々木博美さん提供)
兵庫県姫路市で活動する「笑いヨガ」の参加者たち (佐々木博美さん提供)
(週刊朝日2021年3月26日号より)
(週刊朝日2021年3月26日号より)

 新型コロナワクチンの接種が始まったが、もちろんこれで安心というわけではない。常日頃から病気にかかりにくい体づくりをしておくことがコロナへの感染も防ぐことにつながる。そのためにはやはり免疫力。笑いと呼吸で免疫力を下げない方法を紹介したい。

【グラフ】笑顔をつくることでNK活性が正常化した実験データはこちら

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 日本笑い学会(大阪)の副会長で医師の昇幹夫さんは、日々「笑い」を取り入れることで、免疫力が下がらない生活習慣を勧めている。

 過去には、『笑いの健康学 笑いが免疫力を高める』の著者で医師の伊丹仁朗さんとともに、大阪の「なんばグランド花月」で吉本新喜劇を3時間見て大笑いすると、免疫機能がどう変化するかという実験を行った。すると、リンパ球の一種であるNK(ナチュラルキラー)細胞が活性化された。その結果は「笑いと免疫能」という論文にまとめられた。NK細胞はウイルス感染した細胞を攻撃したり、日々発生するがん細胞を死滅させたりする。2017年に大阪国際がんセンターが同様の実験をしたところ、同じ結果が出たという。

 昇さんは、伊丹さんが行ったこんな実験にも注目している。

 大学生6人(男女各3人ずつ)に、会釈程度の笑顔を作ってもらう。特におもしろいことを考えなくてよく、とりあえずほほ笑む作り笑いだ。午前9時半から2時間、途中30分おきに5分の休憩を入れながら笑顔を続けた。

「その結果、NK細胞の元気度(NK活性)が本来は低くなる時間帯なのに、4人は逆に高くなり、最初から高すぎた2人は正常範囲に近づいたのです。おもしろくなくても笑顔を作るだけでも免疫力は活性化される、ということがわかったわけです」

 昇さんによると、楽しくて笑っても、作り笑いでも「脳がだまされて」、同じ生理学的な変化が起こるという。

「役者が悲しくなくても、わざと涙を出せるようになるのと同じですね」

 免疫機能にとっては、作り笑いでも効果があるようだが、できれば本当におもしろくて笑えるほうがいい。

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