本音の話を聞いて貴重な情報を得るというのは後付けの理屈。どうしてもやめられないから、5千円の領収書で割り勘とする偽装工作まで行う。接待側も「こんな素晴らしいお話を聞くのにこの程度のことですみません」などと官僚のプライドをくすぐる。現金は払わず領収書だけもらうのも実は日常茶飯事だ。

 こうした高額接待を受ける官僚は一種の病気である。だから中途半端なルールを作っても必死で抜け穴を探す。彼らに口実を与えないように、民間企業との飲食を割り勘でも一切禁止として、相手が利害関係者なら違反は免職にする。許すのは会議室での千円以下の実費負担の弁当のみとすればよい。認めるのは純粋に個人レベルの会だけにする。私の30年超の官僚経験から見て、それで情報が取れず仕事ができないということはない。

 高額接待中毒の官僚は、この際、霞が関から一掃するべきだ。

週刊朝日  2021年3月26日号

古賀茂明(こが・しげあき)/古賀茂明政策ラボ代表、「改革はするが戦争はしない」フォーラム4提唱者。1955年、長崎県生まれ。東大法学部卒。元経済産業省の改革派官僚。産業再生機構執行役員、内閣審議官などを経て2011年退官。新刊『日本を壊した霞が関の弱い人たち 新・官僚の責任』(集英社)など

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古賀茂明

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古賀茂明(こが・しげあき)/古賀茂明政策ラボ代表、「改革はするが戦争はしない」フォーラム4提唱者。1955年、長崎県生まれ。東大法学部卒。元経済産業省の改革派官僚。産業再生機構執行役員、内閣審議官などを経て2011年退官。近著は『分断と凋落の日本』(日刊現代)など

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