大切なのは睡眠時の「心地よさ」。室温や湿度も自分の「快」を追求したい。眠たくなるまで、暗くしたリビングルームでくつろぎ、仕事はいったん忘れて、ゆったりと深呼吸。スマートフォンから出るブルーライトはメラトニンの分泌を抑えるため、寝る前は見ない。そして寝室へ。こうした習慣が質の高い睡眠につながるのだという。

 睡眠不足が借金のように積み重なり、不調を引き起こす「睡眠負債」という概念もあるが、井上理事長はこう話す。

「一日何時間睡眠が良いか、とこだわる必要はないです。日中に活動的に過ごせるような睡眠時間は自分にとって何時間なのか。それを探り、自分にとっての理想の睡眠時間をとればよいのです」

 習慣から少し外れるが、睡眠時無呼吸症候群にも注意が必要と井上理事長が指摘する。

「高齢者の有病率は1割を超えています。睡眠時無呼吸症候群になると、低酸素状態になってしまうので前炎症状態をきたしやすい。そのためコロナに感染すると重症化しやすいと言われています」

 こだわりすぎず、悩みすぎず。コロナ感染対策の一環としてこの機会に自分の睡眠習慣と向き合ってみてはどうだろうか。(本誌・大崎百紀)

週刊朝日  2021年3月26日号