ただし、東京や神奈川は歳入の半分以上を税収が占め、愛知も4割前後だ。「法人事業税など企業関係の税収は景気に左右されやすく、振れ幅も大きい」(都の財政課)

 また、新型コロナに関していえば、人が密集する地域ほど感染者数は多い。2回目の緊急事態宣言の対象となった地域とも重なる。財政は比較的豊かでも、新型コロナの対策費は高くなりやすい。

 逆に、財政力指数が最も低かったのは島根(0.26)。高知(0.27)、鳥取(0.28)と続いた。人口流出や高齢化に悩む自治体が目立つ。数値が低いほど、交付金や補助金などで国に頼る割合が大きくなる。島根や高知、鳥取などは収入の7割以上が国頼みだ。ただし、地域的には新型コロナの感染者数は比較的少ないところが多かった。

 資金不足かどうかを示す「経常収支比率」も地方財政を把握するのに欠かせない。経常収支比率は、地方税や普通交付税など毎年得られる収入が、人件費や公債費といった常に必要な固定経費にどれだけ充てられているかを示す。財政の弾力性や、やりくりの厳しさを見ることができ、数値が小さいほど財政運営に余裕がある。

「数値が高いほど、固定経費を賄うだけで精いっぱいであることを意味する。かつては数値が80%以下ならよいとされたが、最近は全体的にレベルが下がって90%以下ならよし、とされる見方が強い」(佐々木氏)

 数値が最も低かったのは東京都の74.4%で、2位は愛媛の90.2%、3位は島根の90.7%だった。上位とはいえ、東京を除く愛媛以下の自治体も90%超で、十分な余裕があるとはいえない水準だ。

 ワーストの愛知は99.8%で、100%に近い。前年度からも4ポイントほど悪化している。

「実質公債費比率」は、財政規模に対する実質的な借金返済額の割合を示す。借金の重さを知ることができ、数値が大きいほど資金繰りは厳しい。18%を超えると債券を発行するのに許可が必要で、25%を超えると起債そのものが制限される。反対に、数値が小さいほど都道府県債を発行しやすく、何かあったときに財源も手当てしやすい。

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