冒頭の大阪をはじめ、兵庫や愛知、神奈川、埼玉、千葉、福岡など、過去最大の予算規模となった自治体が相次いだ。

「21年度予算はさまざまな1年限りの特別措置があり、何とか組めた。22年度以降は、税収がある程度戻らなければ大変厳しい状況に陥らざるを得ない」(兵庫県の井戸敏三知事)

「新型コロナの感染拡大による景気や、金融市場の下振れリスクに注意する必要がある」(愛知県の大村秀章知事)

「4月以降、何が起きるかわからない」(島根県の丸山達也知事)

 新型コロナの収束が見えないなか、新年度を迎える都道府県はいずれも、気が気でない。

 こうした厳しい状況に直面する各都道府県の財政力は、そもそもどれほどなのだろうか。

 総務省が昨年12月に公表した財政データをもとにして、「財政力指数」「経常収支比率」「実質公債費比率」「将来負担比率」の四つの指標と、財政調整基金の残高についてランキング化した。いずれも、都道府県の財政状況を比較するうえで大事な指標だ。

 ただし、最初に断っておくと、同省がまとめた最新データは、19年度決算から算出したものとなる。財政調整基金残高は20年3月末時点。今回のランキングはあくまで、新型コロナの対応が本格化する直前の財政力だということだ。

 地元の財政は、健全なのか否か──。新型コロナ前の状況を知ることにより、さまざまな政策でお金が使われていく様子が、ひとごとではなくなるはずだ。

 それでは、実際に見ていこう。

 まずは「財政力指数」。この指標は、自治体を運営するのに必要な経費に対して、税収など自前の収入がどれだけあるかを示す。

「数値が大きいほど財政に余裕があるとされ、『1』を上回ると国の地方交付税が交付されない」

 都政や自治体の事情に詳しい中央大学の佐々木信夫名誉教授は説明する。「不交付団体」と呼ばれる1を上回った自治体は、首都・東京。全国唯一で、1.18と群を抜く裕福さだ。

 次いで愛知の0.92、神奈川の0.9。さらに大阪の0.79や千葉の0.78、埼玉の0.77など、いずれも大企業や工業地域を抱える自治体が多い。

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