地方公務員は地方公務員法第34条で<職務上知り得た秘密を漏らしてはならない>と規定されている。改めて秘密保持契約書など結ぶ必要性はない。それに冨田市長の後援会長は民間人という立場であり、副市長、秘書課職員となぜこのような契約を結ぶのか、摩訶不思議だ。

 サインをしていた秘書課職員に本誌が直撃すると、「確かにサインはさせられた」と認めた。だが、サインした経緯、詳細は「百条委員会で調査されているので、ご勘弁ください」と言葉少なに立ち去った。

 池田市議の一人は言う。

「昨年10月、最初に動画が報じられ、市役所に住みつくホームレス市長、サウナ市長とたくさんのマスコミが取材に来ました。冨田市長もマスコミ対応に追われ、一部の私物は記者会見の前後に持ち出すなど大騒動でした。サウナやベッドの解体、搬出には職員に手伝わせていた」

 百条委で判明した冨田市長の公私混同、パワハラは目に余るものがあるという。

「サウナ市長と大きく報じられたので、後援会長を通じて、冨田市長の動きをすべて知っている秘書課職員の口を封じ、隠蔽する目的で秘密保持契約書にサインさせたのではないか。百条委ではそうした見方が大半です」(前出・池田市議)

元東京地検検事、落合洋司弁護士はこう話す。

「冨田市長の後援会長が副市長、秘書課職員の意の沿わない秘密保持契約書を無理やり書かせたとなれば、強要、脅迫となりかねない。後援会長に冨田市長が指示したのであれば、共犯の可能性がある。民間人が、市の副市長、秘書課職員と何の秘密保持をしなければいけないのかよく理解できません」

 冨田市長のサウナ問題は全国ニュースとなっただけに秘密保持契約は誰が、何のために結んだのか。百条委での解明が待たれる。(今西憲之)
※週刊朝日オンライン限定記事