監督 ダニエーレ・ルケッティ/12日からヒューマントラストシネマ有楽町ほか全国順次公開/94分(c) Copyright 2019 I.B.C. Movie
監督 ダニエーレ・ルケッティ/12日からヒューマントラストシネマ有楽町ほか全国順次公開/94分(c) Copyright 2019 I.B.C. Movie
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 3月12日からヒューマントラストシネマ有楽町ほかにて、全国順次公開される「ワン・モア・ライフ!」。監督は「ローマ法王になる日まで」が日本でもヒットしたルケッティ。シチリア島パレルモの美しい街並みを舞台に、主人公のパオロが思いがけず手にした92分をリアルタイムで演出することがイタリアでも話題になった。

【映画「ワン・モア・ライフ!」の場面カットはこちら】

 中年男のパオロ(ピエールフランチェスコ・ディリベルト)はスクーターで通勤途中、身勝手な運転が仇となり、交通事故に遭ってしまう。死の瞬間に脳裏をよぎったのは、愛する妻や子供のことではなく、恋人に告げられたひと言だったり、客待ちのタクシーの列の謎だったりと、取るに足らないことばかり。

 しかし、そんなことよりも、予想外の短い寿命に納得できない彼は、天国の入り口で猛抗議。すると、前代未聞の計算ミスが発覚し、92分だけ寿命が延長され、地上に戻れることに。死を受け入れられずに戸惑うパオロだったが、それまで勝手気ままに生きてきた自分を戒め、家族の絆を取り戻すと一念発起。92分の一本勝負に挑む!

本作に対する映画評論家らの意見は?(★4つで満点)

■渡辺祥子(映画評論家)
評価:★★★★
世界のどこでも舞台に出来る話で、これはイタリア式男性版「死の直前に何を想うか」。まず女とサッカー、そして家族。最も未練が残るのは何か?を見せたあとで、そう来たか、のラストは昔ながらのイタリア人情コメディの味。

■大場正明(映画評論家)
評価:★★★
火遊びと家族愛とパレルモの街並みという王道要素にひねりを加えたイタリアン・コメディ。延長された92分の寿命が、サッカーの大事な試合の時間と重なっていくなど、短編小説の映画化らしい軽妙な語り口が印象に残る。

■LiLiCo(映画コメンテーター)
評価:★★★
コメディというより、すごくすごく深いメッセージを伝えてくれる一本。健康のためにやっていたことに意味がないなど、皮肉だったり、天国の役人の設定は面白い。軽く楽しむよりしっかり人生を考えるきっかけになる!

■わたなべりんたろう(映画ライター)
評価:★★★
名作「天国から来たチャンピオン」のイタリア版とも言えるが、やり直せる時間が92分でリアルタイムで進行するのが新味。イタリアン・コメディの緩さながら、コロナ禍で人生について考えたことと重なる妙味あり。

(構成/長沢明[+code])

週刊朝日  2021年3月12日号