そう話すのは呼吸器内科医で池袋大谷クリニック院長の大谷義夫医師。

「乾燥すると線毛の働きが悪くなるため、鼻や喉のうるおいを保つ意味でも、加湿器があるといいでしょう。ただし、加湿器があれば大丈夫というわけではなく、治療が先決。次に室内に花粉を持ち込まない工夫をすること。最後の砦が加湿器になります」(大谷さん)

 今年は新型コロナの流行中ということもあり、せきや咽頭痛、微熱などの花粉症の悪化時に見られる症状が、新型コロナとも共通するため、注意が必要だ。

 鼻詰まりや目のかゆみといった花粉症の典型的な症状があればわかりやすいが、鼻が詰まると嗅覚が鈍くなることもあり、花粉症かコロナか迷った末に、大谷さんの診察を受けた人もいたという。

「重い花粉症と軽い新型コロナの症状の区別がつきにくいことがあるため、なおのこと花粉症対策が大切。コロナの予防は難しくても、花粉症は薬で対処できますから」(同)

 最近は眠くならず、効果が高い薬も増えており、ためらわずに薬を使ってほしい、と大谷さん。

「昨シーズンから季節性アレルギー性鼻炎の治療薬として登場した『ゾレア』は重症者にかなり効果があります。今年は特にコロナの流行と重なっており、早めの薬の活用をおすすめします」(同)

(ライター・吉川明子)

週刊朝日  2021年3月12日号