プロ、アマ問わず、球界に指導者として戻れるかどうかは、厳しいハードルではある。コンプライアンスに厳しい今の時代なら、なおさらだ。まだまだ時間はかかるが、できることから始めてほしい。それが減量であり、ホームランを実演できるようになることであれば、その一つひとつの目標をクリアしてもらいたいと心から願う。

 高校野球も3月にセンバツが行われる。組み合わせも決まった。昨年は春も夏も新型コロナウイルスの影響で大会は中止となった。その無念な思いを抱えた3年生と濃密な時間を共有してきた1、2年生は、大会が行われることへの感謝の思いを、きっとグラウンドで発揮してくれるはずだ。頂点に立つのは1校だけだが、全員が最後まで無事に大会を終えてもらいたい。

 高校野球の成功は、プロ野球開幕へとつながっていく。春季キャンプも無観客で、なかなか選手の息遣いが聞こえてこない。そうなると熱気は生まれてきにくいよね。Jリーグも開幕した。スポーツ界全体で、どこか閉塞(へいそく)感漂う日本に、少しでも活力をもたらせる春となることを願いたい。

東尾修(ひがしお・おさむ)/1950年生まれ。69年に西鉄ライオンズに入団し、西武時代までライオンズのエースとして活躍。通算251勝247敗23セーブ。与死球165は歴代最多。西武監督時代(95~2001年)に2度リーグ優勝

週刊朝日  2021年3月12日号

著者プロフィールを見る
東尾修

東尾修

東尾修(ひがしお・おさむ)/1950年生まれ。69年に西鉄ライオンズに入団し、西武時代までライオンズのエースとして活躍。通算251勝247敗23セーブ。与死球165は歴代最多。西武監督時代(95~2001年)に2度リーグ優勝。

東尾修の記事一覧はこちら