「大人数がリアルに集まって楽しむことは、まだまだしばらくは難しいです。大勢で酒を酌み交わし語らうことが花見の一番の楽しみだという方も多いでしょう。今は、少し我慢して、リアルに集まらず、画面上に桜の映像を流したり、参加者の誰かの家から見える桜を映したりしつつ、オンライン上で楽しく語らい、飲食を楽しむのがおすすめです」

 東京都国立市が開催する、今年で44回目を数えるイベント「くにたちさくらフェスティバル」は、昨年は中止となったが、今年はウェブ上での開催を予定している。フェスティバル実行委員会の小林寛事務局長は言う。

「なんとかして開催できる形はないかと模索しました。例年ステージで行われていた踊りの配信や、協賛店舗の紹介など、さまざまなコンテンツを予定しています」

 映像やオンラインでのお花見に際して、西川氏がぜひ試してほしいことがあるという。

「それは香りです。このようなお花見で、目や耳は楽しめますが、香りを感じることはできない。アロマやお香で演出するのもいいですし、桜の香りがする飲み物やスイーツをいただくなど、脇役である香りの要素を加えることで、気分がいっそう高まります。コロナに感染すると嗅覚が奪われることが少なくありませんが、こういった、いわば“エア花見”のときにも、香りも含め五感で楽しむ本来の魅力を失いたくないですね」

 冒頭の桜、早咲きの品種のようで、日々春めいてくるとともにつぼみはふくらみ、2月下旬、花が咲いた。ちょっと先取りで、まずは自宅でのお花見を楽しむ予定。(本誌・太田サトル)

週刊朝日  2021年3月12日号