山田真貴子・内閣広報官と記者会見に臨む菅義偉首(C)朝日新聞社
山田真貴子・内閣広報官と記者会見に臨む菅義偉首(C)朝日新聞社

 菅義偉首相の長男、菅正剛氏の勤務する「東北新社」の総務省接待と農林水産省の接待で混迷を深めている。東北新社から2019年11月の総務審議官当時、7万4千円あまりの豪華接待を受けていた山田真貴子内閣広報官が2月25日、国会招致され、野党から追及を受けた。同僚だった総務省職員がこう言う。

【写真】本誌が報じた「黒革の手帖」の中身

「総務省審議官、内閣広報官と官僚として重要な地位を歩んできた山田氏の処世術を象徴するような国会招致の回答した。謝りながらも大きな問題ではない、菅首相はじめ政治家には影響を及ぼさない優等生の答弁です。都合が悪いと覚えていないと繰り返す。官僚としてあれだけ優秀な人が、7万円もの接待を受け、覚えていないというなら、普段はもっと高い接待を受けているのかと疑う声が省内で出ている。彼女の『飲み会を断らない女』という動画も有名になり、飲み会に行き過ぎじゃないかという声もあります」

 菅首相の長男が接待の席にいて忘れるわけがない、と指摘する声もあるという。

「長男がいなければ接待は受けていないと思います。山田氏は政治家など出世にかかわる人には忠実な人。だから菅首相が機嫌を損ねると、NHKへ圧力電話をかけたりする。野党はもっと厳しい質問をして、証言を引き出すべきだった」(前出の総務省の元同僚)

 山田氏は接待の全般について「覚えていない」と言いながら、菅首相の長男、正剛氏と会話については「していない」と明確に答えている。「覚えていない」はずなのに、なぜ会話がなかったと断言できるのか、不思議でならない。

 一方、菅首相は山田氏を引き続き、内閣広報官として起用し続けるという。

 しかし、2月26日に新型コロナウイルスの緊急事態宣言の一部解除について、菅首相の記者会見が予定されていたが、急きょ中止になった。山田氏は内閣広報官として記者会見での司会進行を担当している。首相会見となれば、テレビなどに映し出される時間も長い。山田氏の疑惑追及の場ともなりかねない。

次のページ
山田内閣広報官を庇う菅首相