「パソコンは電話がかけられない?」佐藤愛子“ネット語”学ぶも大苦戦 (1/4) 〈週刊朝日〉|AERA dot. (アエラドット)

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「パソコンは電話がかけられない?」佐藤愛子“ネット語”学ぶも大苦戦

佐藤愛子週刊朝日
佐藤愛子(さとう・あいこ)/1923年、大阪府生まれ。甲南高等女学校卒業。69年、『戦いすんで日が暮れて』で直木賞、79年、『幸福の絵』で女流文学賞、2000年、『血脈』完結で菊池寛賞、15年、『晩鐘』で紫式部文学賞を受賞。著書に『九十歳。何がめでたい』『気がつけば、終着駅』など多数 (撮影/工藤隆太郎)

佐藤愛子(さとう・あいこ)/1923年、大阪府生まれ。甲南高等女学校卒業。69年、『戦いすんで日が暮れて』で直木賞、79年、『幸福の絵』で女流文学賞、2000年、『血脈』完結で菊池寛賞、15年、『晩鐘』で紫式部文学賞を受賞。著書に『九十歳。何がめでたい』『気がつけば、終着駅』など多数 (撮影/工藤隆太郎)

 インターネットがわからなくたって生きていける……。この持論をある日、目にとまった書評でガラリと変えた佐藤愛子さん。数えで99歳になるベストセラー作家は、孫を先生にインターネットを学んでみることにしたのだが、「パソコンは電話がかけられない?」……。抱腹絶倒の発見を綴った特別寄稿の後編。

*  *  *
前編より続く)

 そんなある日、文藝春秋の私の担当編集者山口女史から電話がかかって来た。用件というのは以前に文庫出版された「老い力」というエッセイ集についての相談である。山口女史はこういった。

「あの『老い力』のテキストデーターをオンラインに」

 ここまではここに再現出来るのだが、その後がいけない。山口女史が何をいおうとしているのかがわからない。わからないから返事が出来ない。彼女は返事を待っている。答えないのは聞こえないからではなく、オンラインとはどういうことかわからないからなのだ。だがそういう私の苦況は山口女史には理解出来ないだろう。この文明の世にそんなことがわからない奴がいるとは夢にも思わないだろうから。オンラインだけではない。山口女史はその後の説明の中で、私には未知のインターネット語(?)を使ったのだ。

 そのインターネット語は三つもあって、そのため私はチンプンカンプンだったのだ。

 その後山口さんに会った時、私はチンプンカンプンになったわけを説明したところ、彼女はそのインターネット語とやらは私は三つも使っていません、普通にしゃべっただけですといった。そういわれてみるとそうだったかもしれない。やっぱり私の耳は大分悪くなっているのだな、と思う。もう以前のように自分の思い込みに固執しない。しないというより、出来ない。素直なものだ。一瞬暗澹とするが、それもすぐ忘れる。

 インターネット、そんなもん、わからなくたって生きていける……。今までに何度、私はそういって来たことか。娘や孫相手ばかりでなく、心許した編集者、私を奇人変人と思っている友人、佐藤愛子らしいいつもの「放言」と聞き流してくれる人ばかりでなく、真面目なインタビュアにまで本気でいってきた。本気だ。全く本気で、真面目に私はそう確信していたのだ。


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