グループサウンズのコンサートで失神した少女 (c)朝日新聞社
グループサウンズのコンサートで失神した少女 (c)朝日新聞社

 景気が上向きになり始めた1950年代から次々と誕生した新語・流行語。本誌「週刊朝日」も99年の歴史を、時代時代のリアルな世相を宿した新しい言葉とともに歩んできた。

【特集】99年間、流行り言葉と歩んだ週刊朝日

 60年代に入ると、「中間層」(61年7月7日号)と呼ばれる消費欲が旺盛な階級が登場し、新語・流行語はさらに増え始める。三種の神器と呼ばれた「洗濯機、冷蔵庫、テレビ」を競って購入し、流行のレジャーを積極的に楽しむ傾向にあり、「バラ色の階級」と称された。トヨタが大衆車「パブリカ」の販売ターゲットは中間層と明言したほか、多くの新商品が中間層をターゲットに開発された時代だ。このころの流行語には「○○族」というものが多い。「ドライブ族」(61年6月2日号)、「マンション族」(64年6月5日号)、「みゆき族」(同9月18日号)、「原宿族」(66年11月25日号)、「フーテン族」(67年8月18日号)と次々に登場した。

 週刊朝日はこれら「○○族」が話題になると、直撃インタビューを敢行している。たとえば「みゆき族」。

<みゆき通りといえば、東京・銀座でもシックが売りもののおしゃれ通り。ところがちかごろ、この町角に大きな米ブクロをぶら下げた新風俗のハイティーンがたむろして人目をひいている。総勢二、三百名。人呼んで「みゆき族」という>

 たむろしている若者を次々と直撃し、彼らが抱えている袋は「フーテン・バッグ」とも呼ばれ、2~3日帰宅しなくても困らないだけの必需品が詰め込まれていることを聞き出す。彼らには目的があるわけではなく、ただぐるぐると界隈を歩き回る。気になる異性を見つけると「よう、軟派しない?」と声をかけ、たちまちカップル成立。多くは人気のアイビーファッションに身を包むが、駅のトイレで制服から最新ファッションに着替えていることなどを聞き出していた。

 フリーアナウンサーとして時代を言葉で報じてきた堀尾正明さんも、流行語は時代を表すことを実感してきたという。

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