「ほかにも回転ずし店を最初は『人工衛星ずし』と呼んでいたり、三島由紀夫が6月に結婚してから『ジューンブライド』(58年6月8日号)が定着したということにビックリしました。流行語はビジネスの始まりを知るうえでも有用なんですね」(牛窪さん)

 その「人工衛星ずし」が写真付きで紹介されたのは61年4月7日号。今ならひと目見て「小型の回転ずし店だ」とわかる風景だが、当時の記事にはこう書かれている。

<大阪はミナミ、道頓堀に「人工衛星ずし」なるすし屋がある。なんのことはない、ごらんの通り店の中央にダ円型の調理台兼食台があり、その食台にそってコンベアがコトコト回っている。調理台の内側には職人がいて、注文に応じたものをサラにもり、コンベアの上にのせるという趣向。三十六もある客席にわずかの人数でサービスできるのが主人の自慢。帰りはサラ数でカンジョウを払うのだが、ポケットへ入れたりしてごまかしてはいけません>

 これが67年10月27日号では、東京・御茶ノ水駅前に「ぐるぐる回るG寿司」が登場。11月17日号には「四日市市にも『コンベアー寿司』があった」と報じており、どうやら現在の回転ずしの元祖は大阪発「人工衛星ずし」だったことがわかる。(本誌・鈴木裕也)

週刊朝日  2021年3月5日号より抜粋