コーカサス山脈に位置するエルブルースの雪に覆われた山頂から、スキーで滑走する。マイナス30度の世界ですが、世界7大陸最高峰の中でも比較的登りやすい山の一つ。50代のときに登頂達成した山でもあります。

 親子3代で挑戦するのはわが家のしきたりのようなもので、僕の父でプロスキーヤーの敬三の代から、僕と息子・娘たちとともに遠征してキリマンジャロやヒマラヤを登ってきました。父が亡くなった今は、僕より元気な20代の孫たちも含めて計画中です。

 いま88歳。2年後に向けた目標が、リハビリとトレーニングの大きな原動力となっています。同年代の友人は亡くなったり、大病を患ったりという年齢になりましたが、僕の場合は回復できると疑わないどころか、もっと強くなれると思っているので、そういう意味では幸せ者かもしれません。

 東京五輪が開催されることになれば、山梨県側の富士山5合目の聖火リレーでランナーを務めることになっていますから、それまでには体力と筋肉を復活させたいです。

 春に雪が解けたら、まずは、札幌にある藻岩山をゆっくり登ってみるところから始めたいと思います。

(本誌・岩下明日香)

週刊朝日  2021年3月5日号