この動画は2月23日まではYouTubeで誰でも見ることができたが、24日以降は非公開となった。総務省時代の同僚が山田氏についてこう話す。

「動画の通り、山田氏は確かに飲み会を断らない。自分が誘われると、後輩官僚にも『一緒においで』と声をかけていた。酒を通じて、うまく上司や政治家に取り入る、世渡り上手の山田氏らしい内容ですね」

 山田氏の夫、吉田博史総括審議官は更迭された秋本芳徳情報流通行政局長の後任となった。

「山田氏夫婦には子供がひとりいる。山田氏が飲み会に出ている間は、吉田氏が家で子供の面倒を見ていたといた言い、『酔っぱらって嫁さんが帰ってきた。夜は主夫のようなもんだ』と苦笑していた」(前出の同僚)

 総務相時代から菅首相に気に入られていた山田氏に対し、政界入りを勧める声もあったが、内閣広報官におさまった。山田氏の国会招致にまで発展した菅首相の長男、菅正剛氏の官僚接待問題を追及している大串博志衆院議員はこう話す。

安倍晋三前首相の時は、森友学園と加計学園問題で財務省が忖度。今回は菅首相への忖度で総務省幹部が接待漬けにされた。東北新社は実際に放送業務の認可を総務省から得ているので、山田氏だけでなく、菅正剛氏はじめ、かかわった人は全員、証人喚問すべきではないか。長男とは別人格という答弁は信じがたい」

 山田氏の疑惑が出てからわずか3日目で国会招致に応じた自民党。党内では危機感が強いという。

「実は22日の国会で菅首相が長男のことで謝罪までするか、しないか、党内でもめた。謝る必要はないという強硬派の意見もあったが、菅首相は謝罪して早く収拾する方針を打ち出した。山田氏の国会招致も同様だ。森友、加計問題のように泥沼化はさけたい。支持率が低下するなか、この問題がこじれると政権が転覆しかねない」(自民党幹部)

(今西憲之 本誌取材班)
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