Youtubeで公開されている「うっせぇわ」のMV
Youtubeで公開されている「うっせぇわ」のMV

 サビの“うっせぇ、うっせぇ、うっせぇわ”のフレーズが、一度聴いたら離れない印象的な曲「うっせぇわ」が、2021年を代表するヒット曲になるのではないかとの評判が広がっている。

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 歌っているのは女子高校生シンガーのAdo。昨年10月にデジタルシングルとしてリリースされたこの曲は、YouTubeでのミュージックビデオ再生回数が7300万回超(2月18日現在)、動画アプリ「TikTok」にはこの曲を使用して踊るなどする動画が3万本以上存在し、それぞれの動画を試聴した人からまた拡がりをみせている。これは、昨年大ヒットして紅白歌合戦にも出場した瑛人の「香水」やYOASOBIの「夜に駆ける」がブレイクした過程とも共通するパターンだ。

「うっせぇわ」現象について、芸能評論家の三杉武さんは、次のように分析する。

「『うっせぇわ』と連呼してストレスを爆発させるようなサビは今の時代に合っていて、そのフレーズが何よりキャッチ―で覚えやすく歌いやすい。それだけにこの強めの言葉を子どもたちも歌うようになっているのは、親としては微妙なところかもしれませんが(笑)」

 音楽評論家の宗像明将さんも、ヒットはサビのフレーズのキャッチ―さに起因するとしたうえで、ネットやSNSによるヒット曲の広がりについてこう解説する。

「ネット系ではワンフレーズの強さが本当に重要なんです。『香水』の“ドルチェ&ガッバーナ”に代表されるようにキャッチ―なフレーズを持つものが、動画に使われやすい。そういう強いワンフレーズがあったうえで、全体を聴いてもよく出来ている曲というのが、最近のネット発のヒット曲の傾向ではないでしょうか」

 この「うっせぇわ」は、現時点ではダウンロード限定で、CDでは発売されていない。CDの発売や売れ行きと曲のヒットが直接結びつかない現象が、ますます広がっている可能性が高いと宗像さんは語る。

「たとえば、Official髭男dismの『Pretender』やあいみょんの『マリーゴールド』は、CDの売り上げだけ見ると数万枚だったりします。ヒットの規模とCDの売り上げ枚数が、全く連動していません」

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ヒット曲はCDセールス派とネット拡散派に二極化