帯津良一(おびつ・りょういち)/帯津三敬病院名誉院長
帯津良一(おびつ・りょういち)/帯津三敬病院名誉院長
※写真はイメージです (GettyImages)
※写真はイメージです (GettyImages)

 西洋医学だけでなく、さまざまな療法でがんに立ち向かい、人間をまるごととらえるホリスティック医学を提唱する帯津良一(おびつ・りょういち)氏。老化に身を任せながら、よりよく老いる「ナイス・エイジング」を説く。今回のテーマは「免疫力を低下させない」。

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【体温】ポイント
(1)気温が下がると、体温が低下し、免疫力が落ちる
(2)温かいものを食べ、風呂に入り、運動するのがいい
(3)体温以上に重要なのが、腸内環境を整えること

 新型コロナウイルスの感染者が増えて、世の中がまた騒がしくなっています。しかし、私に言わせれば、冬になって寒くなれば、感染者が増えるのは当たり前のことです。それは、気温が下がることで人の体温も低下し、免疫力が落ちてしまうからなのです。

 36.5度が免疫を正常に保つのに最適な体温ですが、1度体温が下がると、免疫力は30%低下すると言われています。逆に1度上がると、免疫力が5~6倍になるとされるのですから体温は重要です。

 仮にコロナウイルスを吸い込んでも、免疫力が十分ならば、自然免疫の力で発症を抑えることができます。緊急事態宣言が出て、国をあげて感染予防に取り組んでいますが、私は国をあげて人々の免疫力アップに努めたほうが、よほど効果があると思っています。でも、そういうことを言う人はあまりいませんね。

 体温を上げて免疫力を高めるのに、手っ取り早い方法は温かいものを食べるということです。

 私の大好物の湯豆腐などはいいですね。そこに熱燗(あつかん)を加えれば、万全です。1杯目に飲む生ビールの味は捨てがたいですが、何杯も飲むと体を冷やします。

 また、体が冷えたと思ったらすかさず風呂に入りましょう。私は長湯が嫌いで、いわゆる“カラスの行水”なのですが、それでも体温は上がります。風呂好きなら、存分にお湯につかることです。

 さらに、体温を上げるもう一つの方法は運動するということです。と言っても、しょっちゅうウォーキングやランニングをしているわけにはいきません。それよりも、日常的にこまめに動くことが大事です。エレベーターなどは使わずに、階段をのぼりましょう。心がければ結構、体を動かせるものです。

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帯津良一

帯津良一

帯津良一(おびつ・りょういち)/1936年生まれ。東京大学医学部卒。帯津三敬病院名誉院長。人間をまるごととらえるホリスティック医学を提唱。「貝原益軒 養生訓 最後まで生きる極意」(朝日新聞出版)など著書多数。本誌連載をまとめた「ボケないヒント」(祥伝社黄金文庫)が発売中

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