例えば、金城学院大は21年に看護学部を設置する準備を進めていたが、文科省から「学部設置の趣旨等において不備な点がある」と指摘され、認可申請を取り下げている。

 一方、合格率が95%以上で安定しているのは国公立大学、医学部あるいは病院を持つ大学であり、その多くは入試難易度上位校だ。私立大学看護系学部では慶應義塾大、聖路加国際大の2校がトップで、日本赤十字看護大、順天堂大、北里大、東京慈恵会医科大、同志社女子大、大阪医科大、兵庫医療大が続く(20年度河合塾の入試難易度で、偏差値52.5以上)。

 国家試験合格者数5位147人の日本赤十字看護大は、86年に開学した。系列校として、「日本赤十字」のあとに北海道、広島、九州国際、豊田、秋田という地名が付く大学がある。これら日本赤十字看護系6校で706人の合格者を数え、看護の世界で一大派閥を形成する。

 合格者数21位の聖路加国際大は64年に聖路加看護大として開校した。私立では日本初の看護学部となる。起源は1920年設立の聖路加国際病院付属高等看護婦学校までさかのぼる。2014年に現校名に改称した。大学名は「せいるか」と読む。これは新約聖書「ルカによる福音書」の聖人ルカに由来するもので、「せいろか」は誤りである。

 こうした国公立大学や老舗伝統校がランキング上位を占めるなか、東京医療保健大、聖隷クリストファー大、川崎医療福祉大、帝京平成大、四日市看護医療大、安田女子大、目白大などが善戦する。これらは入試難易度は高くないものの、いずれも国家試験合格率95%を超えている。「職業選択の一つ」だった看護師の魅力とやりがいを教えてくれるのだろう。コロナ禍において頼りになる大学である。(小林哲夫

週刊朝日  2021年2月19日号