「子どもが独立したときぐらいに始めていい。あとは人生の節目になる時期、退職してリタイアするときや年金をもらい始めるときなどです」(同)

 北見さんによると、親世代が被害に遭う理由を考えれば、防衛のポイントがわかるという。

「なぜ大金を巻き上げられてしまうのか。言うまでもなく、現金を持っていたり、すぐ用意できたりしてしまうからです。親の世代では“タンス預金”をしている人がまだまだ多い。友人のお母様で、常時、200万円ぐらいは家に置いている方がいらっしゃいました」

 さすがに60代以下でタンス預金派は少ないだろう。やはり圧倒的に多いのが、銀行や郵便局での預貯金だ。

「銀行自体は安全な預け先ですが、お金を守る観点からだと、実は預金や貯金は必ずしも安全とは言えません。望めば簡単に現金化できるからです」(同)

 確かに、そうだ。1日当たりの引き出し限度額はあるものの、普通預金はキャッシュカードさえあればATMですぐ引き出せる。通帳と印鑑を持って窓口へ行けば、全額引き出すことも可能だ。「定期預金が安心とも言い切れません。解約すれば即日、引き出せるからです。預貯金は意外と“堤防が低い”」(同)

 とすれば、「引き出しにくいところに預ける」のがポイントなのか。

「そのとおり。と言っても難しく考える必要はありません。引き出すのに“すぐ”でなく“ひと手間かかる”ところに預ければいいのです」(同)

 なるほど、それなら誰でもできそうだ。では、どういう金融商品がそれにあたるのか。北見さんが解説する。

「ここからは“場合分け”が必要になります。これまで証券会社と付き合った経験があるかどうかで、使える金融商品が違ってくるのです。といって、高齢になってから証券会社と付き合い始めるのはNGですので、注意してください」

 まずは、証券会社を使わない場合である。

「私の友人にも『どうしても証券会社はイヤ』という人がいますが、そんな方におすすめなのが『個人向け国債』です。これを買っておけば、満期まで安心して預けられます。銀行や信用金庫、信用組合などどこでも買える商品です」(同)

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