こうした強い措置を警察が取れるようになっても山口組と神戸山口組の抗争の制圧には今なお至っていない。ただ、二つの組織の日常的活動を制約する効果が出ているのは事実だと警察当局はみている。捜査関係者によれば、昨年は新型コロナウイルスの影響で資金獲得活動(シノギ)も難しくなって事務所撤去の動きが続発したことがそれを裏付けているという。

 もっとも警視庁のマル暴部門改編について現場からは不安の声もあがる。

「暴力団が弱体化しているのに乗じて統合するのはまだ話がわかるが、急増し巧妙化している半グレ、外国マフィアやマネーロンダリングを担当する部門をひとつに整理して統合することで弱体化しないか心配だ」(警視庁捜査関係者)

 警察関係者によれば、統合はあくまで案の段階で、今夏開催予定の東京五輪後に本格的な検討に入り、年内に決定する見込みだという。この大改編が果たして吉と出るか凶と出るか。(野田太郎)

※週刊朝日オンライン限定記事