当時の楽曲は、「ニューミュージック」の旗手として注目された谷村新司やさだまさし、宇崎竜童らによる提供が多く、J−POPの原点とも言える。持ち前の歌唱力や表現力も相まって、いまでも古臭く感じない。

 今回放送されたラストコンサートは、そんな魅力を持つ百恵の集大成。「『曼珠沙華(まんじゅしゃか)』の『白い花さえ真紅(まっか)に染める』のフレーズ後、両手で握ったマイクを高く上げた瞬間に暗転し、赤いライトが百恵さんを照らす演出が好きです。コンサート前半は暖色を基調とした舞台で百恵さんの力強さを感じ、後半は寒色を基調に荘厳さを感じられる。何回見ても色あせない歴史的なコンサート。今後も語り継がれるでしょうね」(百井さん)

 NHK総合での放送は「一度限り」だというが、令和でも「これっきり」と言わず、再放送を検討していただきたい。(中将タカノリ)

週刊朝日  2021年2月19日号