「豊田氏は米コンサル大手企業の勤務経験もあり、経営戦略やITにも通じている。開成高校、東大医学部卒と経歴も華やかで発信力は大きい。菅首相が医療の『デジタル化』を進めるのにうってつけの人物で、今回の不祥事がなければ9月に発足するデジタル庁でも活躍していたかもしれません」(同前)

 菅氏とは、首相就任以前にも後にも面会するなど期待をかけられていた。豊田氏は昨年12月、本誌の取材に対し、菅氏の印象を「若い世代の言葉にも熱心に耳を傾けてくれる。『当たり前のことは当たり前にやるべきだ』と励まされました」と語っていた。

 豊田氏は21年12月期の役員報酬とストックオプションの未行使分(32万株、16億円相当)も返上するという。夫、そして父として「当たり前のこと」ができなかった代償は大きい。(本誌・池田正史)

週刊朝日  2021年2月19日号

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池田正史

池田正史

主に身のまわりのお金の問題について取材しています。普段暮らしていてつい見過ごしがちな問題を見つけられるように勉強中です。その地方特有の経済や産業にも関心があります。1975年、茨城県生まれ。慶応大学卒。信託銀行退職後、環境や途上国支援の業界紙、週刊エコノミスト編集部、月刊ニュースがわかる編集室、週刊朝日編集部などを経て現職。

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