これだけの逆風が吹いていながらも、会長の座に居座り続ける様子だ。橋本聖子五輪担当相は4日、森会長に「直接注意した」と明かしたが、進退については明言を避けた。谷口さんはこう指摘する。

「橋本大臣の注意はただのポーズ。JOCの山下(泰裕)会長も森会長にベッタリです。周囲に意見させない体制を敷いてきた。森会長は『ONE TEAM』という言葉が大好きですが、自分中心の独裁という意味で好きなんでしょう」

組織委内部にも、森会長への反発をぼそぼそと話す人はいるが、公然とは口にできない空気が漂っているという。

 本誌の取材に組織委は「不愉快な思いをされた皆さまに、お詫び申しあげる。五輪・パラリンピック精神に基づいた大会が開催できるよう、引き続き献身していきたい」と答えた。

 森会長は会見で次のようにも述べた。

「皆さんが邪魔だということであれば、老害が粗大ごみになったのかもしれませんから、そうしたら掃いてもらえばいい」

「退場」の時期はとうに過ぎているのではないだろうか。

(本誌・秦正理)

*週刊朝日 2021年2月19日号

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秦正理

秦正理

ニュース週刊誌「AERA」記者。増刊「甲子園」の編集を週刊朝日時代から長年担当中。高校野球、バスケットボール、五輪など、スポーツを中心に増刊の編集にも携わっています。

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