(2)誹謗中傷やヘイト表現が行われた場合、どう対処するのか。アメリカではすでに誹謗中傷問題が起こり、ガイドラインを強化している。

(3)デマの蔓延にどう対処するのか。映像や文字が残らないため、「あのルームで聞いた話」という口伝えの噂が多くなり、デマが回りやすい。

(4)洗脳ビジネスやマルチ商法に利用されないか。「オレオレ詐欺」同様、音声に聞き入って甘言を信じ込みやすくなる恐れがある。

 また、現在は無料のサービスのみが提供されているが、今後は課金要素が加わり、ユーチューバーならぬ“クラブハウサー”が出現することも予想されている。

「現状、創業者が三つの課金制度を検討しています。(1)チップ(話者に対してリスナーが投げ銭のようにチップを渡す)、(2)チケット(有料ルームへの入場券)、(3)サブスクリプション(特定ルームの定額制聞き放題)。開発当初からクリエイターの活動を助けることが念頭に置かれていたこともあり、クラブハウスを通じて収入を得るクラブハウサーという職業が生れてきそうです」(三上さん)

 では、実際に利用している人々はどんな感想を持っているのか。原則、会話の公開は禁止されているが、記事化をルーム名に明記し、参加者の了承を得たうえで感想を募った。以下、いくつかの声を紹介する。

「コロナ禍の影響で出産予定日の近い妊婦同士の交流の場を設けることができず、孤独に出産を迎える人がたくさんいる状態が続いていた。クラブハウスは、ママ友など同じ境遇にある者同士が気軽に相談できる場にもなっています」(大学教員・助産師)

「経済誌のバンコク駐在員が、タイで日本食レストランを経営している人とつながり、現地の詳しい事情を解説しているのを聞きました。コロナ禍で海外取材ができない中、現地の話が聞けるのは面白かった」(ライター)

「利用は17歳以上だが、先日、高校生が活発な意見交換するルームがあった。学校への登校がむずかしい子も参加していて交流していた」(フリージャーナリスト)

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「在宅ワーク中、13時間ずっと聞いている」という猛者も