坂本:司会進行役の私も歌わせていただくことになり、びっくりです。

大西:「美雨ちゃんの歌もあるよ!」と、春樹さんが「ゲッツ/ジルベルト」のトリビュート盤「ゲッツ/ジルベルト+50」で、美雨さんが山下洋輔さんのピアノで歌っている音源を聴かせてくれたの。春樹さん、意外にもスマホをお持ちで「これ、どう?」って、音や映像を次々と私に見せてくれます。

坂本:春樹さんがスマホを使われるのは意外でしたか?(笑)

大西:うん(笑)。

坂本:そんなお二人のやり取りで洋輔さんにも参加を依頼したわけですね。

大西:春樹さんは、私に「オルフェのサンバ」の映像も見せて、「美雨ちゃんと洋輔さんで燃え狂うような曲はどう?」とも言っていました。

坂本:えー! できるかな……(笑)。春樹さんは音楽が純粋に好きで、TOKYO FMの「村上RADIO」という番組でご一緒していますが、少年のような表情でいつも選曲していらっしゃる。番組でかける曲はご自宅のレコード棚からアナログ盤を持参しています。放送中のスタジオでは、スタッフがわかるようにレコードジャケットを立てかけているんですよ。

大西:かつてのジャズバーのマスター時代に戻ってしまうのでしょうね。

坂本:そう! 失礼ながら、大作家だということを忘れそうになります。ラジオ番組でも、音楽好きの少年がお気に入りの曲を友達に聴かせるような雰囲気です。

大西:「この曲、いいでしょ!」って、みんなに聴かせたいんですよ。

坂本:リサさんのご両親はブラジル音楽がお好きでブラジルに渡られ、ライヴハウスを経営されていたとうかがっています。

小野:はい。私はサンパウロで生まれて、10歳までブラジルにいました。

坂本:本場のブラジルでは、ボサノヴァはどのような音楽なのでしょう。

小野:ブラジル人の多くはサンバに親しんでいます。一方ボサノヴァは、中流層以上というか、知識層が聴いていました。例えば、男性がデートのときにガールフレンドのために演奏するような。そんな特別な場面の音楽なので、ボサノヴァだけを演奏するミュージシャンはあまりいませんでした。

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