梶芽衣子 (撮影/写真部・掛祥葉子)
梶芽衣子 (撮影/写真部・掛祥葉子)
映画「すばらしき世界」は、11日から新宿ピカデリーほか全国公開 (c)佐木隆三/2021「すばらしき世界」製作委員会
映画「すばらしき世界」は、11日から新宿ピカデリーほか全国公開 (c)佐木隆三/2021「すばらしき世界」製作委員会

 70代になって、表現の手段が加速度的に増えている女優の梶芽衣子さん。43年ぶりのオリジナルアルバム、自伝、YouTube……。そんな梶さんが自らのキャリアを振り返り、今思うこととは。

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「私、今YouTubeやってるんです。それからレコードも。あ、最近はレコードじゃなくてCDだったわね(笑)」

“普通のお母さん”を演じる梶さんの姿を目にすることが多くなった。テレビドラマなら「きのう何食べた?」の主人公・シロさんの母親役。昨年公開された映画「罪の声」でも、やはり主人公の母親役を演じていた。2月11日公開の「すばらしき世界」では、役所広司さん演じる主人公・三上の身元引受人の妻役だ。

「42歳で『鬼平犯科帳』のおまさという役に出会ってからは、28年間、鬼平中心にスケジュールを組んできたんです。私、自分の人生を年代で区切るところがあるの。今は70代ですが、43年前に歌をやっていた。その当時担当だったプロデューサーの息子さんが成長してロックシンガーになって、『芽衣子さんの歌は僕にやらせてください。小さい頃から僕が思っていた梶芽衣子はこれっていう決定版にします!』なんて言うんです。私が、『やれるならやってみな』って返したら、3年前に『追憶』というアルバムを作ってくれた。なんとこれがロックなんですよ!」

 アルバムの発売と同時に、新宿のReNYというライブハウスでライブを敢行すると、800人入る会場は満員に。客層も幅広かった。

「下は10代から上は80代まで(笑)。しかも外国人も多くて驚きました。そんなわけで70歳がロックで始まったから、次は何をしようかと思っていたら、映像のお仕事が次々に舞い込んで」

 10年ごとにテーマで区切れるのならと、30代から遡ってもらうと、「30代は、『女囚さそり』を降りた後の“地獄”!」とあっけらかんと言い放つ。「女囚さそり」シリーズは、言わずと知れた梶さんの“当たり役”だ。

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