ヤンキースからフリーエージェントになった田中将大楽天に復帰する。よくメジャー帰りの投手が日本のマウンドへの対応に苦戦するが、田中は関係ないだろう。なぜなら、股関節の使い方、下半身の使い方が絶妙で、踏み出す左足を柔軟に使えるからだ。

 極端に話を進める。もし踏み出す側の足が「棒」だったらどうだろう。上体が二塁方向に残っていたらつっかえ棒になってしまうし、上半身が捕手方向に突っ込めば、今度は前につんのめってしまう。リリースポイントも一定するわけがなく、たたきつけたり、すっぽ抜けたりになる。球場ごとにマウンドも違う。だからこそ、左足を柔らかく使えるかは重要な要素となる。

 田中はメジャーの硬いマウンドでも、下半身をうまく使っていた。元広島の黒田博樹も同じ。日本のマウンドでも、修正に時間はかからない。

東尾修(ひがしお・おさむ)/1950年生まれ。69年に西鉄ライオンズに入団し、西武時代までライオンズのエースとして活躍。通算251勝247敗23セーブ。与死球165は歴代最多。西武監督時代(95~2001年)に2度リーグ優勝

週刊朝日  2021年2月12日号

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東尾修

東尾修

東尾修(ひがしお・おさむ)/1950年生まれ。69年に西鉄ライオンズに入団し、西武時代までライオンズのエースとして活躍。通算251勝247敗23セーブ。与死球165は歴代最多。西武監督時代(95~2001年)に2度リーグ優勝。

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