林:ラジオの深夜放送ってある意味で治外法権で、みんなが好き勝手言うという文化がありましたよね。私たちが子どものときも、「こんなこと言っていいのか」みたいなことを皆さん深夜放送で言ってましたよ。

檜原:いろんなことを教えてもらえるというか、大人への入り口が深夜放送だったんですけど、最近の深夜放送は例えば芸能記者さんも聞いていて、ラジオで話したことがそのまま記事になったりしますからね。ネット時代になって、ラジオでの発言がラジオだけにとどまらなくなっているというか。そういうことはパーソナリティの方々もわかっているから、ちゃんと意識はしているとは思うんですけどね。

林:難しいですよね。ラジオって言いっ放しで、それが楽しくておもしろいのに、あまりにも意識しすぎると……。

檜原:そう、コンプライアンス的なことを突き詰めすぎるとね。ディレクターとかスタッフは、そういったことからパーソナリティを守るという役割もあるので、なるべく自由にしゃべってもらいたいなと思いますね。

林:私も3年ぐらい前に「ラジオ深夜便」(NHKラジオ第1)をやってたんですけど、たとえば映画の話をして「あの人が出ていた」とか言うと、すぐ「名前が違う」とか電話がかかってきて、皆さん聴いてらっしゃるんだなとつくづく思いました。

檜原:アハハハ、生放送ですもんね。多岐にわたるテーマにおいて、固有名詞を正確に話すということはなかなか難しいことですよね。

(構成/本誌・松岡かすみ 編集協力/一木俊雄)

檜原麻希(ひわら・まき)/1985年、慶応義塾大学文学部卒業、ニッポン放送入社。2009年、デジタルメディア局長。11年編成局長。15年取締役。18年、常務取締役。19年、代表取締役社長に就任。帰国子女で幼少期に英国・フランスに滞在。英語・フランス語が堪能。99年には休職し、フランスの企業で半年間インターンシップを経験。

>>【後編/ニッポン放送・檜原社長 ミッツ・マングローブを見出し、厳しく育てた?】へ続く

週刊朝日  2021年2月12日号より抜粋