細野豪志衆院議員 (c)朝日新聞社
細野豪志衆院議員 (c)朝日新聞社

 コロナ対策の失敗で急速に求心力を失いつつある菅政権。与党からも解散への動きを菅首相は封じられている。衆院選全国289選挙区の当落を政治ジャーナリストの野上忠興氏と角谷浩一氏に予測してもらった。今回は北信越、東海について。

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 新潟1区は秘書への暴行で有罪判決を受けた元自民の石崎徹氏が無所属で立候補を準備。自民の塚田一郎氏と保守票を食い合うことに、塚田氏を応援する自民議員はこう言う。

「党内には石崎支持に回る人が多少いるでしょうが、自民は一本にまとまらないと立憲の西村智奈美氏に勝てない。出馬を辞退してほしいが……」

 新潟5区は自民の泉田裕彦氏と無所属の米山隆一氏の「元知事対決」。18年に女性問題で知事を辞職した米山氏が巻き返しているという。地元の野党県議がこう話す。

「一時はひどい評判だったが、妻の室井佑月氏とこまめに地元を回り好感度も上昇。県内は米山氏でまとまっており、実質、野党統一候補です」

 静岡5区は自民党二階派入りした元民主党の細野豪志氏が無所属で出馬。自民現職で岸田派の吉川赳氏との保守分裂選挙となる。地元の自民関係者は「これは二階派と岸田派の戦争ですよ」と言い、こう解説する。

「細野氏は二階派入りで一時は支持を減らしたが、地元を細かく回ってかつての勢いを回復。二階派のバックアップでこれまで食い込めていなかった経済界、大企業にも浸透している。二階俊博氏も党本部で静岡の関係者を見ると必ず『細野君をよろしく』と声をかけています」

 対する吉川陣営の地元市議は厳しい視線を送る。

「細野氏の支持組織は旧民主党系のサポーターがかなり去ったと聞く。ずっと反自民だった人を自民党員が推すのか。そんなに甘くないですよ」

 野上氏、角谷氏ともに細野氏有利との予測だが、果たしてどうなるか。

 伝統的に野党が強い愛知では「自民が苦戦を強いられ3議席ほど減らしそう」(野上氏)。1区では河村たかし名古屋市長に出馬の噂があるという。河村氏は本誌の取材に、「総理を目指すことをあきらめたわけじゃないが、選挙よりまずコロナ対策。市政にまい進する」と言うのみだが、地元政界関係者はこう語る。

「河村氏の後援会の中に国政復帰への待望論がある。1区は自民が立憲をリードしているが、河村氏が来れば情勢が一気に変わると両陣営とも動向を気にしています」
(本誌・亀井洋志、上田耕司/今西憲之)

週刊朝日  2021年2月5日号

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上田耕司

上田耕司

福井県出身。大学を卒業後、ファッション業界で記者デビュー。20代後半から大手出版社の雑誌に転身。学年誌から週刊誌、飲食・旅行に至るまで幅広い分野の編集部を経験。その後、いくつかの出版社勤務を経て、現職。

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今西憲之

今西憲之

大阪府生まれのジャーナリスト。大阪を拠点に週刊誌や月刊誌の取材を手がける。「週刊朝日」記者歴は30年以上。政治、社会などを中心にジャンルを問わず広くニュースを発信する。

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