雪が断続的に降った金沢市内=1月18日(C)朝日新聞社
雪が断続的に降った金沢市内=1月18日(C)朝日新聞社
「暖房の利用など普段どおりの生活を続けつつ、電気の効率的な使用を続けていただきたい」と話す梶山弘志経産相=1月15日、東京都千代田区(C)朝日新聞社
「暖房の利用など普段どおりの生活を続けつつ、電気の効率的な使用を続けていただきたい」と話す梶山弘志経産相=1月15日、東京都千代田区(C)朝日新聞社

 年明けの“寒波”襲来で、大手電力でつくる電気事業連合会(電事連)が節電への協力を呼びかけている。

【写真】「暖房の利用など普段どおりの生活を続けつつ、電気の効率的な使用を続けていただきたい」と話す梶山弘志経産相

「1月8日に西日本を中心とした全国7エリアで最大需要が10年に1度と想定される規模を上回った」と説明。悪天候で太陽光発電などの発電量が低下したこともあり、電力需給が逼迫(ひっぱく)しているのだ。

 ピークとなる需要時の電力使用量は、沖縄電力を除いた電力9社で軒並み95%以上と、100%の限界に迫る。今後の電力需要についても、「天候によっては厳しい状況になることがある」と、梶山弘志・経済産業相が記者会見で話している。

 今回の電力需給の逼迫は、「さまざまな要因が重なった」(電事連広報担当)。寒波や太陽光発電の事情だけでなく、火力発電に用いる燃料の一つ、液化天然ガス(LNG)の消費が増えて在庫が減ったことも背景だ。電力各社はLNGの調達に奔走するが、「周辺国でLNGが取り合いになっている」(経産省担当者)状況だという。

 電力ビジネスコンサルタントの村谷敬AnPrenergy代表は次のように指摘する。

「石炭からLNG火力に大転換した中国の経済回復が早かったこともあり、LNGの調達が厳しくなった」

 今回の事態は、新たな問題も浮き彫りにした。電力の自由化で新電力会社が相次ぎ参入したが、「市場連動」タイプの料金体系にしている会社の一部で、電気料金が跳ね上がりそうだという。

 村谷さんによれば、新電力のうち、市場連動タイプで電気を使っているユーザーは全体の2%ほど。夫婦共稼ぎの2人家族のケース(在宅勤務のない通常時)で電気料金が月約3千円と仮定すると、市場連動で1月分の料金は4万円にふくらむとの試算だ。

 もちろん、市場連動のメリットを受けて安くなる月も期待できるので、単純な評価はしにくい。「何カ月かの平均を反映するタイプなら、料金高騰を抑えられる」(経産省担当者)。市場連動型といっても、契約内容しだいのようだ。

 そのうえで村谷さんは注意を促す。

「新電力のなかには、『安い』としか言わなかったケースもある。市場連動型の料金を掲げていなくても、事実上は市場連動型のところもあります」

 電力会社を選ぶときは、料金変動のリスクなどもしっかりと考えたい。

(本誌・浅井秀樹)

*週刊朝日オンライン限定記事