東京地裁へ入る河井案里被告(C)朝日新聞社
 東京地裁へ入る河井案里被告(C)朝日新聞社

 昨年6月、公職選挙法違反(買収)で夫で元法相河井克行被告とともに逮捕された、参院議員の河井案里被告への判決公判が東京地裁で開かれ、懲役1年4か月、執行猶予5年(求刑1年6か月)を言い渡した。

 すでに公職選挙法違反で案里被告の公設秘書の有罪判決が確定。広島高検は公設秘書が組織的選挙運動管理者にとして連座制適用対象に該当すると、広島高裁に提訴。案里被告は自身の判決にかかわらず、連座制が認められると失職する運命にある。

 また、案里被告の有罪判決で克行被告との共謀や、カネをばら撒いた買収リストも認定。案里被告が配ったカネも一部を除き「買収」とされた。

 案里被告の証言からも現在、公判中で無罪を主張する克行被告の判決はさらに厳しい状況に追い込まれることになる。自民党幹部がこう言う。

「克行被告は議員バッジはなくなる可能性が高く、案里被告は『離婚するんじゃないの』とのウワサがあります。それどころか、2人は逮捕された後も国会議員をやめずに給料をもらっている。自民党のイメージも悪いので、早く辞職してほしいとの声が多く聞かれます」

 その一方で2人が3月15日までに辞めてしまうと、克行被告の広島3区、案里被告の参院広島選挙区で4月末頃に補選となる。

「2人とも離党しており、自民党では、案里被告が失職した後の候補探しに着手していますよ。ただ、河井被告夫妻の選挙区で補欠選挙となれば、勝てる見込みはほとんどない。菅政権はますます厳しくなるだけです」(前出・自民党幹部)

 広島は元外務大臣の岸田文雄衆院議員のおひざ元でもある。案里被告の後の参院補選としては、広島県の湯崎英彦知事、広島県の緒方直之県議の名前があがっている。克行被告から現金を受け取ったとされる県議の一人がこう話す。

「あの2人のせいで、とんでもない目にあった。検察に調べられ、法廷に引っ張り出されとひどいことになった」

 河井被告夫妻が県議や市議だけでも50人近くにカネを配って大半が受け取った。それだけに、キズがない政治家が少ない。

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「顔も見たくない」と地元議員