具体的には、日立金属が1030人、レオパレス21が1千人、コカ・コーラボトラーズジャパンホールディングスが900人、ファミリーマートが800人、東芝が770人、シチズン時計が750人──などだ。

 関東在住の40代女性は、新型コロナで経営悪化した健康食品会社の早期退職に応じた。失業手当を受けてハローワークに通うものの、なかなか再就職先が見つからない。このまま仕事が見つからないと、「生活保護を受けることも考えている」と話す。

「早期退職して次の仕事をどう考えるか、が課題です。収入が低くなった仕事をすんなりと受け入れられる人は少ない。ホワイトカラーの人が、いきなりブルーカラーの仕事を受け入れることはできない」

 自らファイナンシャルプランナー(FP)の資格を持つ、ファイナンシャルリサーチの深野康彦代表はこう指摘する。

 早期退職は、自分の意思で辞めるケースと、リストラなど外部要因で辞めるケースの二つに大きく分けられる。

 とくに後者は、住宅ローンや教育費などが残っていることが多く、再就職などで収入を得る道を考えなければならない。

 もちろん、前者のケースでも「成功するポイントは『家』にあり、住居費のかさむ人はかなりの金融資産を持っていないと厳しい」(深野氏)。いずれにしても、早期退職の成功には、生活自体を“ダウンサイジング(縮小)”することが必要だとされ、生命保険や通信費などを大胆に見直したほうがいいそうだ。逆にいえば、普段から生活をコンパクトにし、やりくり上手な人が成功しやすいという。

 関東に住む男性は20年3月、55歳でコンサルティング会社を早期退職した。53歳のときに病気で妻に先立たれ、いまは一人暮らし。辞める前の早い時期から服や家具、本やCDなどを“断捨離”し、生活のダウンサイジングを実践していた。月16万円で暮らせるようになっていたため、仕事をいつ辞めても大丈夫だったと振り返る。

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