掲載物件は、全国の不動産流通データベースなどから「告知事項あり」を探し出し、管理する不動産会社に物件詳細を尋ねて掲載を呼びかけたもの。量の確保のため、これまで手弁当で取り組んだ。今、その数は平均200~300件にのぼる。

 そしてなかでも注力するのは、家主や物件を探す人に向けた取り組みという。

 同社の調査によると、事故物件を嫌う理由は大きく「霊的なものへの恐れ」と「汚れや臭い」で、とくに慌てた家主が事故に不慣れな顔見知りの業者に清掃を依頼し、後にトラブルになるケースも多かった。そこで実績が確かな特殊清掃業者にのみ依頼し、おはらいもして「成仏認定書」を発行。手に余った家主へは、事故発生の瞬間から物件売却までワンストップで任せられる体制も作った。

 一方で物件を検討する顧客への不十分な情報提供も課題となっている。ある不動産業者は業界の現状について言う。

「事故に詳細な線引きがないのが、実務側が苦労しているところ。あいまいなので、詳細を隠すケースがゼロではない。ルールがない分、お客さんというより大家さんの方をみて仕事する業者もありますよ」

 価値下落を恐れる家主が隠そうとするのは仕方ない面もあるが、「事故物件の公示サイトもあり、隠せていたものが今はあぶり出される時代」と成仏の花原さんは言う。そんな事故物件がまとめて忌避される状況を改善しようと、事故の詳細をもとに独自に「発見まで72時間未満の孤独死」など七つの区分を設定。選ぶ側が比較、検討できるようにした。家主から買い取り、大規模改修でおしゃれ、お得などの付加価値をつけ、再び市場に出す計画も進行中だという。

 別のアプローチから事故物件の流通に着手した企業もある。

 総務省統計によると、全国にある空き家は約850万戸。過去最多の一方で、高齢者や外国人は孤独死などのリスクもあるとして住まい探しに苦労するあべこべな状況にある。そこに着目するのは「R65不動産」(東京)。高齢者の選択肢を増やそうと、不動産会社出身の山本遼さん(31)が15年に起業したスタートアップ企業だ。

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事故物件と高齢者のマッチング