例えば、扶養控除を38万円受けられるケースを考えてみよう。扶養をする人の課税所得が500万円の場合、所得税率は20%。おおまかな計算で、38万円×20%の7万円程度が戻る。

 税金上の扶養に入ることができる家族は幅広い。子どもや親はもちろん、配偶者の両親や祖父母、おじ、おばなどもいい。条件に当てはまれば、人数分だけ申告できる。2~3人の扶養で、約14万~21万円戻る計算だ。

「個人事業主に真っ先に提案するのは『青色申告』」と言うのは、元国税調査官で税理士の佐川洋一さんだ。

 青色申告の最大のメリットは、所得金額から10万~65万円を差し引ける「青色申告特別控除」。所得税率が20%の人なら、65万円の控除が受けられると住民税(10%)と合わせて税金はそれだけで20万円弱も安くなる。

 最高65万円の控除を受けるには、一定のルールに従い記帳し、確定申告書に損益計算書のみでなく、貸借対照表を添付する必要がある。「面倒だ」と受け止められがちだが、メリットはほかにもある。赤字を3年間繰り越せたり、比較的高額の備品をまとめて経費に計上できたりするのだ。

 今回の確定申告から、この65万円の控除を受けるには「電子申告」か「電子帳簿の保存」が必須となる。「今はクラウド会計サービスもあり、確定申告にも対応しています。帳簿を作るのが億劫(おっくう)だと考えている人は利用するとよいでしょう」(佐川さん)

 個人事業主には「小規模企業共済制度」もお勧めだ。毎月1千~7万円の範囲で一定額ずつ積み立て、将来の廃業や退職に備える制度で、積み立てた額はその年の所得からそのまま差し引ける。積立額が毎月2万円なら年間24万円。所得税の税率が20%の人は、所得税だけで年5万円近く、節税できる。

 青色申告や小規模企業共済制度をこれから始める人は今回の確定申告には間に合わないものの、青色申告は次回2021年分を対象とする申告に向けた申請書の提出期限が迫る。確実に節税につながるので、早めに検討しておきたい。

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