これに対し、ニトリやカインズ、不二貿易はいずれも中国の会社で製造された輸入品だ。各社は原因を「調査中」だとしている。

 そもそも珪藻土は、珪藻という「藻」が化石となって堆積(たいせき)したもの。一方、石綿は蛇紋石や角閃石のマグマが特殊な条件で水に冷やされてできたものだ。成り立ちが違い、珪藻土に石綿が入り込むことは考えにくい。

 そこで注目したいのが堀木工所だ。同社は石綿禁止前に購入した建材を珪藻土バスマットに転用していた。建材と珪藻土製品が似ていたものだったからだ。

 珪藻土バスマットなどの製品は、珪藻土に生石灰、紙パルプ(植物繊維)を混ぜるなどしてつくる。これは建材「けい酸カルシウム板」の製造そのもの。しかも建材の製造設備をそのまま使えるのだ。

 だからといって、石綿を含む理由にはならないが、中国は石綿使用を禁じていない。製造設備が転用できるとなれば、どうだろうか。

 かつて、石綿使用を推進した日本石綿協会を引き継ぐJATI協会が、石綿を含まない建材のリストを専用サイトで公表。石綿を含む事例が相次ぎ、16年に掲載中止に追い込まれたことがあった。

 環境省の石綿飛散防止小委員会で問われた同協会関係者は18年当時、「原料として石綿を直接入れてはおりません。ただ、(石綿含有と含有なしの製品を)併産していますので、まず製造ラインの問題と、あと端材ですね、端材を入れたりしていますので、1%以下のものがかなりあると思います。無石綿と表示があってもわからないというものが結構あります」と、石綿禁止前のずさんな生産管理の実態を明かした。

 15年ほど前まで、日本の建材メーカーの認識はこの程度だった。今回、石綿の使用を禁じていない中国で製造された以上、こうしたリスクがつきまとう。

 自主回収を発表した3社は「品質管理をしてきた」と強調する。ところが、石綿対策としては「日本の法令を順守する」などの一般的な契約規定はあったようだが、実質的に現地メーカーに“丸投げ”状態だった。

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石綿「分析依頼」もなし