珪藻土のバスマットやコースターをめぐり最初に問題になったのは、大阪府貝塚市のふるさと納税“返礼品”に採用されていた堀木工所(同市)製造のものだった。

 市政策推進課によれば、同社が20年2月に端材の処分を依頼しようとした際、産業廃棄物(産廃)処業者から石綿が含まれているかどうかを聞かれたことが問題発覚のきっかけだ。もともと同社側の分析で石綿は「不検出」だったが、市側が改めて分析したところ、安衛法の基準である重量比0・1%を超えるクリソタイル(白石綿)を検出。厚労省も改めて分析しその事実を確認したため、同11月、同社は約2万6千個の自主回収を発表した。

 市によれば、同社の珪藻土バスマットはふるさと納税返礼品のランキングで「ベスト5」に入るほどの大人気商品。東急ハンズや阪急阪神百貨店でも取り扱っていた。サントリーの高級ウイスキーには、堀土木所製のコースターが付属品として採用されていた。

 そして同12月、カインズやニトリのほか、不二貿易(北九州市)が製品を卸していたヤマダ電機など44社でも販売。21年1月15日までの1カ月半ほどでじつに計61製品から石綿が検出され、400万個近くの自主回収が発表された。これだけ多くの家庭用品から回収されるのは、石綿使用が原則禁止されて以降初めてのことだ。

 なぜ、これほど珪藻土製品に石綿が含まれる事態となっているのか。

 最初の堀木工所と、それ以降の事例は分けて考える必要がある。というのも同社の珪藻土製品は、大手建材メーカーだった段谷産業(02年自己破産)から01年に購入した建築材料「繊維強化セメント板」を貼り合わせたり、切ったりして販売。つまり、建材を転用した代物にすぎなかった。

 堀木工所が建材を購入した当時、クロシドライト(青石綿)やアモサイト(茶石綿)の重量比1%超の使用は禁じられていたものの、今回検出したクリソタイル(白石綿)の使用は禁じられておらず、「適法」だったのだ。ただし、石綿禁止の06年以降、改めて分析せずに“在庫処理”したことが問題となった。

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日本でも石綿含む端材投入