大阪大学免疫学フロンティア研究センター招へい教授の宮坂昌之医師はこう語る。

「緊急事態宣言の下では、対策の取れている店も一律に時短になってしまうのが気の毒です。あるいは、せっかく対策をしていても、ついたてが顔の高さまでしかないこともある。これではマイクロ飛沫(ひまつ)は止められません」

 本来ならば感染が収まっている間に、店の規模などに合わせた感染対策を指導しておくことが重要だったという。

「ただし、いまの保健所にはそんな余力はないでしょう。最近、民間のPCR検査センターが開設されていますが、飲食店の感染対策マニュアルについて民間の力を頼るのも手だと思います」

 そうした中、コロナによる重症化を防ぐ治療薬として、いま期待されているのが、「人工抗体」医薬品だ。すでに米製薬大手のイーライリリーやリジェネロンの製品が承認されている。宮坂医師がこう説明する。

「人工抗体は、コロナから回復した患者さんの免疫細胞から抗体をつくっている遺伝子を抜き出すことで開発されました。短期間のうちにウイルス量を激減させることが確認されています」

 日本でも1年以内くらいで使えるようになると見られており、感染制御の切り札になるかもしれない。(本誌・亀井洋志)

週刊朝日  2021年1月22日号