帯津良一(おびつ・りょういち)/帯津三敬病院名誉院長
帯津良一(おびつ・りょういち)/帯津三敬病院名誉院長
※写真はイメージです (GettyImages)
※写真はイメージです (GettyImages)

 西洋医学だけでなく、さまざまな療法でがんに立ち向かい、人間をまるごととらえるホリスティック医学を提唱する帯津良一(おびつ・りょういち)氏。老化に身を任せながら、よりよく老いる「ナイス・エイジング」を説く。今回のテーマは「希望在心中 生命在脚下」。

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【気功】ポイント
(1)がん克服のための「郭林(かくりん)新気功」という気功がある
(2)この気功で大事なのは「希望在心中 生命在脚下」
(3)この言葉はナイス・エイジングにとってもいい

 中国のがん患者さんの間に広まっている気功があります。「郭林新気功」といいます。

 これは画家の郭林女史が自分の子宮がんの転移を克服するために考案しました。自分の体で実践したうえで、1970年ごろからがん患者さんに指導するようになったそうです。

 この気功の特色は“吸って、吸って、吐いて、吸って、吸って、吐いて”というリズムを繰り返しながら、歩いていくところにあります。「歩行功」と呼ばれる気功なのです。

 中国各地には「癌(がん)症康復クラブ」という自発的に組織されたがん患者さんの集まりがあります。このクラブと私の病院の患者会が交流をしていました。特に上海癌症康復クラブとは、毎年、私をはじめとする病院の職員、患者会の主要メンバー、患者さんの有志の二十数人が出かけていく関係でした。体験発表など情報交換のほかに、余興を見せ合ったりして、和気藹々(わきあいあい)と交流が進むのですが、そのときに必ず行われるのが郭林新気功でした。

 この交流を通じて親しくなったのが郭林新気功の指導者、于大元(うたいげん)さんです。于さんは夫妻で日本を訪れ、私の病院に来てくれたこともあります。病院の食堂で2人で痛飲して、奥さんに叱られました(笑)。

 そのときに于さんに教えてもらった言葉が「希望在心中 生命在脚下」です。

 郭林新気功では「三心の樹立」こそが大事だと教えられます。三心とは、この気功で必ず自分の病気がよくなるという「信心」、その信念のもとに必ずやり遂げるぞという「決心」、その信心と決心を持続させて、いつでも変わらぬ心で気功に励むという「恒心」です。これがそろうことによって、がん克服への希望が生まれてくるのです。ですから、「希望在心中」とは、三心こそが希望の源泉であると説いた言葉でしょう。

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帯津良一

帯津良一

帯津良一(おびつ・りょういち)/1936年生まれ。東京大学医学部卒。帯津三敬病院名誉院長。人間をまるごととらえるホリスティック医学を提唱。「貝原益軒 養生訓 最後まで生きる極意」(朝日新聞出版)など著書多数。本誌連載をまとめた「ボケないヒント」(祥伝社黄金文庫)が発売中

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