撮影・東川哲也(写真部)
撮影・東川哲也(写真部)

「とにかく何事も起こらないように、滞りなく舞台の初日を迎え千穐楽になることを、心から祈るばかりでございます」

【写真】市川海老蔵さんと幼い頃の麗禾ちゃん、勸玄くんとの可愛い3ショットはこちら

 昨年12月に都内で行われた、1月3日が初日となる新橋演舞場「初春海老蔵歌舞伎」の会見の場で、市川海老蔵はこう語った。その傍らには今回共演する長女の市川ぼたん、長男の堀越勸玄がいた。

 本来ならば、昨年5月には海老蔵は十三代目市川團十郎白猿を、長男の勸玄も八代目市川新之助の襲名披露を行う予定だったが、4月の緊急事態宣言を受け延長された。21年の抱負を聞かれた時にも、「大見得を切れないじゃないですか。非常に難しい」としながらも、海老蔵はこう語った。

「世の中の経済がどんどん回り、多くの方々がコロナに感染せずに元気であり、そのうえで我々エンターテインメント、舞台芸術、日本の伝統文化の俳優、役者陣がようやく活動、水を得るわけでございます。とにかく我々は、ひたすらコツコツと今与えられる責務、歌舞伎というものに対して進んでゆく。と言いつつも、何事にもとらわれず、風のように1年間を過ごしていきたいという思いでございます」

 「初春海老蔵歌舞伎」の主な演目は、歌舞伎十八番の「毛抜」、市川ぼたんが出演する「藤娘」、勸玄が牛若丸を、海老蔵が武蔵坊弁慶を演じる「橋弁慶」。

「久しぶりの舞台なので少しドキドキしているけれど、がんばっていきたいと思います」

 と少し緊張の面持ちで意気込みを語るぼたん。いっぽうの勸玄は、天真爛漫に、「がんばりまーす!」と一言。

父・海老蔵が苦笑しながら「雑だな」とツッコむと、「スペシャルがんばりまーす!」と返し、場内の笑いを誘っていた。

 日本の伝統文化の看板を背負う表情から、二人の子供に対しては、一転して優しい父の顔に変わる。お年玉や初夢の時期でもあるが、勸玄は、

「夢は24時間ゲームをすることです!」

 この「夢」を聞き、

「どんどんゲーマーの道へ向かっているという話でございます。ちょっと歌舞伎のほうに修正したいな、と」

 父はちょっと困惑ぎみだが、歌舞伎の稽古も学校の勉強もちゃんとしていると、息子の姿を評価していた。

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