もう一つ注目したいのが、だしの脳への作用だ。

「だしには幸せを感じるセロトニンという脳内物質を増やす働きがあります。そのため、“太ってしまった”という後悔よりも、“よし頑張ろう”という前向きな気持ちでダイエットに取り組める。長続きしやすいのです」

 さらにこのだしの効果を高めるのが、1分間の瞑想(めいそう)なのだとか。

「食べたい、おいしそうといった誘惑は、目から入ってくる情報によってもたらされます。そういうときは、1分だけ目をつむって瞑想するのです。痩せた自分を“妄想”するのもいいかもしれませんね(笑)」

 これによって食に対する衝動が抑えられ、気持ちが落ち着くという。

 続いては、漢方の知恵を生かす「養生&ツボ」ダイエットだ。北里大学東洋医学総合研究所(東京都港区)の医師で日本東洋医学会認定漢方専門医の伊東秀憲さんと、薬剤師の緒方千秋さんに話を聞いた。

「漢方の考え方では、冬は寒さから体を守るためにエネルギーを蓄えようとする時期。食事を減らして一気に痩せるのは好ましくなく、食べて痩せるのが理想です」

 と緒方さん。その上で大事にすべきポイントとして「脾胃(ひい)」を挙げる。現代でいう消化器系だ。

「胃腸の調子が悪いと、食べたものが長く体内に停滞し、水の蓄積が起こってむくんだり、脂肪がつきやすかったりするのです。逆に脾胃を健康にすることで、食べたものがスムーズにエネルギーになります」

 そのために実践したいのは、胃を温めること。できるだけ生ものは避けて、加熱したものを取る。特におすすめなのが、とろみがついた汁物だ。温かい状態で胃に長くとどまるので、疲れた胃腸を元気にしてくれる。

 このほか、シナモンや山椒(さんしょう)、生姜(しょうが)などのスパイスも有効だ。

「寒い日には、体を温める性質のある紅茶に、ミルク、シナモン、クローブ、カルダモンを入れたインドの伝統的飲料、チャイがいいでしょう」

 さらにダイエットによるストレスにはかんきつ系や、セリ科(パセリ、ミツバ、セロリ、セリ、香菜など)、シソ科(シソ、バジル、ミント、ローズマリーなど)など、香りのある食材を料理に使うとよいそうだ。

 養生では、食べ方にも気を付けたい点がある。

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