イオングループが準備しているフェリカポケットマーケティングは、ボランティアや健康活動のデータを登録すると、それに応じたクーポンなどを受け取れるという。

 情報銀行に基盤(プラットフォーム)を提供し、自社でも情報銀行を運営するデータサインによれば、「個人情報は年々取り扱いが厳しくなっており、情報銀行を通じたやりとりが増える」(太田祐一代表)とみられる。

 もちろん課題もある。

 時間に余裕がないと協力しにくいため、多くの情報提供者を集められるかどうかが成否を握る。

 個人情報を活用する企業側も、その扱い方をめぐりリスクがあるため慎重にならざるを得ない。ニッセイ基礎研究所の中村洋介主任研究員は「国内ではまだ試行錯誤の段階で、ビジネスモデルをつくりあげるのにもう少し時間がかかりそうだ」と語る。

 情報提供する個人も、心構えが必要だという。

「何でも同意を求められて“同意疲れ”になる。先のことを予想できず、わからないまま同意してしまうこともある」

 ECネットワークの沢田登志子理事は指摘する。かりにトラブルになった場合、「個人情報保護委員会が立ち入って調査し、是正の措置をとれることが大切」(沢田さん)だとし、ルール整備を訴えている。(本誌・浅井秀樹)

週刊朝日  2021年1月15日号