※写真はイメージです (GettyImages)
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情報銀行のイメージ (週刊朝日2021年1月15日号より)
情報銀行のイメージ (週刊朝日2021年1月15日号より)

 デジタル社会が進むなか、効率的な商品開発やマーケティングに欠かせない個人情報。本人に同意を得たうえで、これをビジネスに活用する「情報銀行」の取り組みが本格化してきた。

個人情報の利活用「情報銀行」のイメージはこちら

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 ある50代の男性は、週末にプレーするゴルフ場の天候や気温などをインターネットサイトのヤフーでよく確認する。やがて、ヤフーの検索サイトを使うたびに必ず、クラブの新製品などゴルフ関連の広告が現れるようになった──。

 似たような経験をした人は多いのではないだろうか。これは「ターゲティング広告」と呼ばれる。閲覧履歴などの情報を保存する仕組み「クッキー」を使って、利用者の興味ある分野を分析。検索サイト運営会社がクッキーを集め、広告主に情報提供しているのだ。

 米国ではグーグル、アップル、フェイスブック、アマゾンといった「GAFA」がデジタル分野の個人情報の収集・活用で圧倒的地位を築く。クッキーを他社に提供する規定に同意しなければ、サイトを使えないようにしていることも多い。NTTデータ経営研究所金融政策コンサルティングユニットの前田幸枝さんは「GAFAが個人データをがっちりと握り、切り崩すことができません」と話す。

 日本もデジタル化で後れをとるまいと、政府主導で個人情報の利活用を進める。その一つが日本独特の「情報銀行」だ。商品の購買履歴やスマートフォンの位置情報(行動履歴)といった個人情報を広告・勧誘などのビジネスに生かしたい企業に、情報銀行が仲介。個人は自分に合う広告やサービスを受けることができ、企業は対象を絞り込んだマーケティングや商品開発につなげられる。

 例えば、「『1部上場企業に勤め、子どもが生まれた人』というデータが欲しい」と企業から依頼を受けると、情報銀行が、個人に企業の依頼を示したうえで同意を得てその人の情報を提供する。

 住んでいる地域や年齢、職業などを除いて匿名化されるのが一般的だが、匿名化しない場合もある。情報提供に同意した個人は電子マネーやポイント、各種サービスなどの“対価”を得られ、企業は情報銀行に情報量に応じて手数料を払う。

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